タイの旅行時期を「11月から2月の乾季がベスト」で片づけると、行き先によっては最悪の時期を選ぶことになります。タイは南北に1,600km以上伸びていて、同じ月でも場所によって天気がまるで違うためです。
とくに南部のビーチは、西側と東側で雨季の時期がほぼ逆になります。日本の夏休みにプーケットを選ぶと雨季の真ん中ですが、同じ8月でもサムイなら好天の時期です。
タイには3つの季節がある
タイ国政府観光庁は、タイの季節を乾季・暑季・雨季の3つに分けています。
乾季(11月〜2月) は雨がほとんど降らず、気温も他の季節より低い、一年で最も過ごしやすい時期です。バンコクの12月は最高32℃、最低22℃程度です。ただし北部の山岳地帯では、深夜から早朝に0℃近くまで下がることがあります。
暑季(3月〜5月) は日差しが強く、一年で最も暑い時期です。とくに4月がピークで、近年は40℃を超える地域も出ています。
雨季(6月〜10月) は一年で最も雨が多い時期ですが、後述の通り一日中降り続くわけではありません。
タイの年間平均気温は約29℃です。バンコクの気温は年間で22℃から35℃の範囲に収まり、日本のような冬はありません。
行き先で「適した時期」が変わる
タイ国政府観光庁は、ビーチリゾートについて「アンダマン海側と東部」と「タイ湾側」でベストシーズンが異なると明記しています。モンスーンの向きが違うためです。
アンダマン海側(プーケット・クラビ)は5月から10月が雨季のピークです。東部のパタヤも同じ傾向で、乾期11月〜3月、暑期4月〜5月、グリーンシーズン6月〜10月と区分されています。
タイ湾側(サムイ・パンガン)は10月から12月が雨季のピークです。天気が良く波も穏やかなのは2月から6月で、7月から9月も夕方に1時間程度のスコールが降る程度です。
この違いが実際の判断を変えます。年末年始はプーケットが乾季で最適な一方、サムイは雨季のピークです。逆に日本の夏休みの時期は、プーケットが雨季でサムイが好天という関係になります。ビーチが目的なら、行く月から行き先を決めるほうが失敗しません。
雨季は「一日中雨」ではない
雨季を避けるべき時期と考える必要はありません。タイの雨季は日本の梅雨とは降り方が違い、一日中降り続くことは少なく、1日あたり1〜2時間程度の激しいスコールが降ります。雨が上がった後は涼しくなります。

雨季には利点もあります。航空券と宿の価格が下がり、観光地の混雑も乾季より穏やかです。屋内の見どころを組み合わせ、午後のスコールの時間帯を空けておく計画にすれば、十分に成立します。
一方で、雨季に向かないのは離島へのボート移動を含む日程です。海が荒れると欠航することがあり、予定が崩れやすくなります。
北部は2月から5月の大気汚染に注意
チェンマイなど北部では、周辺の山間地域で行われる野焼きの影響で、毎年2月ごろから5月ごろにかけて大気汚染が深刻化します。3月と4月がとくに悪く、世界でも有数の大気汚染レベルになる日があります。悪化と終息の時期は年によって前後しますが、時期を選べるなら2月後半から5月初旬は避けるほうが無難です。
北部を訪れるなら11月から1月が最も条件が良い時期です。渡航前に当日の状況を見るなら、タイ公害管理局が運営するAir4Thaiで観測局ごとの実測値を確認できます。なおトップページに表示しているPM2.5はバンコクの値で、北部の状況とは大きく異なることがあります。
4月中旬のソンクラーンは事前に判断する
タイ正月のソンクラーンは、法定祝日としては4月13日から15日が政府によって定められています。ただし水をかけ合うイベントの期間は、この3日間と一致するとは限りません。地域や年によって前後し、バンコクで4月11日から始まった年や、パタヤでフィナーレが4月19日に行われた年があります。振替休日が加わる年もあります。行く年の日程は事前に確認してください。

旅行の実務としては注意が必要です。祝日を挟むおおむね1週間は国内の交通と宿泊施設が混み合い、商店やオフィスも休むため、普段賑わっている場所が閑散とすることもあります。交通事故も増える時期で、2026年のバンコクでは期間中の事故死者20人のうち約85%がバイク関連でした。
祭りに参加したいなら狙って行く価値がありますが、静かに観光したい場合はこの週を外すほうが快適です。
月ごとのベストシーズンの選び方
初めての渡航で時期を自由に選べるなら、11月から2月を選べば大きく外しません。バンコクもアンダマン海側のビーチも条件が良い時期です。北部を組み込むなら、大気汚染の始まる2月より前、11月から1月までにしてください。
行く月が先に決まっている場合は、その月に合う行き先を選びます。6月から9月ならタイ湾側のビーチ、3月から4月なら北部を避けて南部か内陸部、年末年始ならプーケット側かバンコク・チェンマイ、という組み合わせになります。
出典:
- 気候・ベストシーズン: タイの天気について(タイ国政府観光庁)、パタヤの天気について、タイのビーチリゾート
- 北部の大気汚染の時期、ソンクラーン期の統計: 各種報道
- PM2.5の実測値: Air4Thai(タイ公害管理局)


